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【洗剤の選び方】赤ちゃんの肌を知る

赤ちゃんと大人の肌の違い

皮膚の構造は同じだが、厚みが半分なのでデリケート

赤ちゃんの皮膚も大人と同じように大きく分けると表皮、真皮、皮下脂肪という3つでできています。ただ、皮膚の厚みは大人の半分と言われています。詳細は次の章で説明しますが、表皮の1番外側にある角質が発達していないのがデリケートと言われる大きな理由です。

表皮
真皮
皮下脂肪
肌の構造イメージ(上部が外気)

バリア機能に大切な角層が未発達

バリア機能とは?

バリア機能は

  • 身体の中から水分の蒸発を防ぐ
  • 外部から細菌や化学物質をなど異物の侵入を防ぐ

という2つの役割のことです。この大事なバリア機能に大切なのが表皮の最表面にある厚み0.02mm程の角質です。

赤ちゃんの角層は未発達

角層は皮脂膜、角質細胞と細胞間脂質でできた細胞の重なりです。角層のそれぞれの機能を表にまとめます。

名称機能
皮脂膜      皮脂膜から分泌される皮脂と汗腺から分泌された汗が混じりあったもの。水分の過度の蒸散を防ぎます。
角質細胞      表皮の1番内側で生成した角化細胞が表皮の外側に押し出され、角質細胞となります。角質細胞にはケラチンや天然保湿因子(NMF)があり、潤いを保つ機能があります
細胞間脂質角質細胞と角質細胞の隙間を埋めて、水分の過度な蒸散や外部からの異物の侵入を防ぐ働きがある
角層の機能

赤ちゃんは角質細胞が成長途中で小さい、その間を埋める細胞間脂質も少ないので水分を保持する力が弱くなります。また、皮脂膜の2-3ヶ月以降から皮脂の分泌量が落ちるため皮脂膜もかさつき水分の蒸発を防ぐ、異物の侵入を防ぐ力が弱くなります。

理論的でなく、実際の試験でも赤ちゃんの肌は水分量が少なく、蒸散する水分量も季節の影響をよく受けることを資生堂が明らかにしているので赤ちゃんの洗剤を選ぶためにはバリア機能を意識する必要があることがわかります。

https://corp.shiseido.com/technology/jp/detail/15.html

赤ちゃんの洗剤を選ぶ3つのポイント

① 石けん、合成洗剤を理解する

まず石けんか合成洗剤を選びます。この2つは同じ界面活性剤からできていますが、石けんは天然油脂や脂肪酸から、合成洗剤は石油や天然油脂からできているという違いがあります。石けんか合成洗剤はパッケージを見ればすぐわかり、石けんは純石けん分(脂肪酸ナトリウムや脂肪酸カリウム)と表記があります。スーパーやドラッグストアで取扱いが少なく、ほとんどが合成洗剤になります。石けんの例として「アラウベビー」があります。

界面活性剤は水と油を混ぜることができる物質です。他の言い方をすれば水にも油にも溶けるもので、石けんや合成洗剤が油汚れも水の汚れも落とせるのは界面活性剤のおかげなので良く耳にすると思いますが、何か理解できている人は少ないと感じます。

前置きが少し長くなりましたが、石けんと合成洗剤のメリット・デメリットを表にまとめます。結論私は合成洗剤を使用しています。ただ、赤ちゃんのうんちがついたりした時には石けんで汚れを落としてから洗っています。

石けん

メリット

  • 天然成分でできている
  • 肌に残りにくい
  • 環境への負荷が小さい

デメリット

  • 使いにくい
  • 種類がすくない
合成洗剤

メリット

  • 使いやすい
  • 種類が多い

デメリット

  • しっかりすすぐ必要がある
  • 肌に残る可能性がある

私が合成洗剤を理由は2つです。まず、天然成分へのこだわりがないためです。下のように成分Aが天然、合成成分に関わらず成分Cの機能は同じだからです。また私はメーカーで働いている際、合成成分は不純物が一切ないものは作れますが、天然成分で不純物を含まないものを作るのが難しいです。そのため、何が起きるかわからない不純物を含まない合成成分の方が安心できると思っています。

  • 天然成分A+合成成分B→成分C
  • 合成成分A+合成成分C→成分C

次に石けんが使いにくい点です。使いにくいと思っている理由は2つあります。まず、使用量を適切にしないと働かないことです。使用量が多いと石けんカスが残ったり洗濯槽の腐食の原因になる、少ないと汚れが落ちません。また、石けんはアルカリ性でしか働かないので選択する水の不純物と反応して洗浄力が落ちます。人の皮脂は弱酸性です。大量に汗をかいたときに着ていた服を洗濯する際は石けんを使用すると皮脂を落としている途中で、中和によって石けんがアルカリ性でなく中性になる。そうなるとそれ以上石けんは働かなくなってしまいます。そのため、しっかり汚れを落としたい赤ちゃんの洋服と大人の洋服を石けんで一緒に洗うのは避けたほうが良いと考えています。

私があげる石けんのメリットは衣服に残った際に肌へのダメージが少ないことだと思います。石けんはアルカリ性で、人の皮脂は酸性になっています。そのため石けんの残りは皮膚に触れても皮脂と中和され皮膚にダメージを与えることはありません。また、石けんでも液体石けんは固形石けんより溶けやすいので使いやすいイメージがあります。ただ、合成洗剤の方が中性になっても、使用量が会っていなくても汚れが落ちるという安心感があります。

まとめ

合成洗剤の方が中性になっても、使用量が会っていなくても汚れが落ちるという安心感がある

石けんはすすぎが足りなくて、衣服に活性剤が残っても安心

石けんを使用する場合は赤ちゃんと大人の洗濯は分けたほうが良い

② 配合成分を理解する

「無添加」という言葉が使われます。何が無添加なのかを理解して購入することをお勧めします。無添加は添加物が入っていないという意味ですが、添加物は企業が決めることができます。パッケージを見ると小さく注釈で蛍光漂白剤、香料を含まないなど書かれています。

私の考えは必要であれば添加物として入っていても良い。必要ないものは入っていなくて良いと思っています。下に私がパッケージを見て入っていると思うものを羅列してみましたが私が絶対避けたいのは蛍光漂白剤くらいで、着色剤や香料はどちらでも良いと考えています。

界面活性剤汚れを落とすために絶対必要
蛍光漂白剤洋服を白く見せることができますが、不要だと思います。食品容器などへの配合を禁止されています
水軟化剤水の不純物(アルカリ)と洗剤が反応して、洗浄力が落ちるのは防ぐ働きがあります
酵素界面活性剤では落ちない汚れを落とす効果がある場合があります。メーカーのサイトで効果を見ると良いと思います
アルカリ剤・pH調整剤洗剤を弱アルカリ性に調整することで酸性の皮脂をよく落とせるようになると思います。ある程度pH調整剤がないと量産ブレに対応できません
安定化剤工場で量産する際に少し混ぜる量にブレがあります。このブレがあっても問題ない製品ができるようにメーカーを努力しています。もちろん少ないに越したことはありません。
着色剤色をつけたり、色ブレを抑えるために使用されます。入っている洗剤もありますが、私はなくても良いと思います。ただ、洗剤は透明でないといけないというイメージがあります。
香料香料と2文字ですが、香料によって配合されているものが異なります。微量なので問題だと思いますが、気になる方は無香料を選んだ方が良いと思います。天然香料は香りのブレがあったりします…
洗剤に配合されている物質

③ 赤ちゃん用洗剤を決める

最初に赤ちゃんの肌を理解して、①、②を理解したら自分で何が必要かを判断できると思います。バリア機能が未発達の赤ちゃんのために肌の上に何も残らないないように気をつけます。洗剤で洗った衣服に残っている可能性があるのは「界面活性剤」、「添加剤」、「汚れ」でしょうか。何が1番残っていると良くないかを考え、洗剤を選びましょう。

衣服に界面活性剤が残ると考えるのであれば、界面活性剤が肌に残りにくい石けんを使うのが良いと思います。ただ、適切な使用量をしっかり入れないと汚れが残ります。私はこの衣服への汚れの方が心配なので合成洗剤を選んでいます。念のため、1回のすすぎで落ちるように設計されているか確認しています。

添加物が残ると考えるなら、できるだけ添加剤が少ないものを選びましょう。私は最低限、蛍光漂白剤が入っていないことを確認しています。余計なものを入れるとコストが上がるので余計なものは入れないと思っているので必要な添加物のみ入っていると信じて、必要以上に無添加にこだわっていません。

以上の流れで、私は1回すすぎOKとなっていて、蛍光漂白剤が配合されていない合成洗剤「さらさ」を選んでいます。

まとめ

汚れが気になる方は合成洗剤、すすぎ残りが気になる方は石けんがおすすめ

蛍光漂白剤を避ける

香料は好みで良いが、何が配合されているがわからないので心配であれば避ける

最後に

私はメーカーで働いているので、世間から「無添加」の声があるのも十分に理解できます。ただ、必要なものを必要なだけ入れているというメーカー側の意見も理解できるので、難しい問題だと感じます。メーカーも何が無添加なのかをはっきり表示して、お客さんも理解して購入できるようになれば良いですね。