
はじめに
2025年の年金法改正案で、「遺族厚生年金」の見直しが大きな注目を集めています。配偶者を亡くした際に受け取れるこの制度は、高齢者だけでなく、30代の現役世代にとっても大きく関係するものです。
私自身、サイドFIREを目指し節約と投資で3年ほどで資産を1,500万円ほど増やしてきましたが、妻と2歳の娘の3人家族なので「私に何かあった際に家族は…」というリスクにも備える必要があると感じています。
この記事では、遺族厚生年金の改正ポイント、具体的な受給要件、30代が今からできる備えについて、解説します。
- 2025年の遺族厚生年金の改正内容
- 遺族厚生年金の概要(計算方法や受給資格等)
- 30代から備える方法
2つの遺族厚生年金の制度改正案

今回の改正案は大きく2つのポイントがありますが、30代に関係あるのは1つですが、大きな変更なので、制度改正案は知っておく必要があります。
① 一生もらえる制度から、原則5年間に短縮
2025年以降、夫や妻などに万一のことがあった際に支給される「遺族厚生年金」が大きく見直されます。従来は、条件を満たせば遺族が生涯受け取ることができましたが、改正後は原則「5年間の有期給付」に変更されます。
変更の背景
高齢化社会における財源の持続可能性を確保するため、年金制度全体が見直されており、この遺族年金もその一環です。
② 中高齢寡婦加算の廃止-加算制度がなくなることで減収リスク
「中高齢寡婦加算」は、40歳以上65歳未満の妻が夫の死亡によって遺族年金を受給する際に、定額で上乗せされる制度です。今回の改正により、この加算制度は廃止されます。
影響を受ける可能性がある人
- 子どもが独立した後の専業主婦
- 40~60代の妻がいる家庭
この加算廃止により、年金収入が年額で約58万円(2024年度時点)減少するケースもあります。
遺族厚生年金の受給条件と支給額の仕組み

そもそも遺族厚生年金の制度に詳しくない方向けにこの章では、需給条件等を簡単に説明します。もしもの時にどのくらいの金額になるかを把握して、家族苦労しないように対策を講じておきましょう。
制度の基本:誰が、いくら、どのくらいもらえる?
遺族厚生年金は、厚生年金に加入していた人が死亡した際、その遺族に支払われる年金です。参考に子供1人、勤続年数10年、平均標準報酬月額での支給額を計算しましたが、月3万円程となります。3万円では生活できません。
対象者(以下の優先順)
- 子のある配偶者(または子)
- 子のない配偶者(年齢や収入制限あり)
- 父母・孫・祖父母(一定の要件あり)
支給額の目安
- 被保険者の報酬比例部分の3/4が基準
- 子どもがいると加算あり(1人につき年額約22万4,700円/2024年度)
報酬比例部分の計算式(参考)
次の式で計算されます:
報酬比例部分 = 平均標準報酬月額 × 5.481/1,000 × 被保険者期間の月数
これに3/4を乗じた金額が、遺族厚生年金の支給額となります。
- (例)平均標準報酬月額が30万円
- 被保険者期間が120ヶ月(10年) の場合:
- 30万円 × 5.481 ÷ 1,000 × 120ヶ月 = 約197,316円
その3/4 = 約147,987円(年額)
これに加えて、子ども1人がいる場合は約22万4,700円が加算され、合計で約37万2,000円/年程度となります。
支給開始の要件
- 死亡時に厚生年金被保険者
- 保険料納付要件を満たしている(原則として加入期間の2/3以上納付など)
30代が今から備えるべきこと=自分で資産形成

制度改正を踏まえた現実的な対策を
30代の現役世代にとって、「遺族年金=老後の話」ではありません。むしろ、住宅ローン・子育て・教育資金と支出が多い世代こそ、配偶者に何かあったときの収入減を想定した備えが重要です
生活費月20万円、先ほどの例から遺族厚生年金月3万円の支給とすると17万円の赤字となります。また、5年間の制度ということで、制度に頼らずもしもの際にも自分たちで何とかできるだけの資産を蓄える必要であります。
私の場合は、家計のスリム化(節約)と投資による資産形成でサイドFIREを目指すことが結果として対策になると感じています。具体的な節約や投資戦略が気になる方は以下を参考にしてください。
- 節約:https://tonke-seikatsu.com/setsuyaku-matome/
- 投資:https://tonke-seikatsu.com/2025-4-kouhaitou-index/
具体的な備えの例
- 生命保険や収入保障保険の見直し
- 家計支出のスリム化
- 投資などによる資産形成
終わりに:遺族厚生年金の法改正は30代にも影響大
2025年の年金法改正は、単なる高齢者向け制度の見直しではなく、30代や子育て世帯にも深く関係する内容です。
特に、遺族年金が5年の有期給付に短縮されることで、「万一のときに安心」とはいえない状況に変わりつつあります。家族を守るためにも、公的制度だけでなく自分で資産形成をする、それでも足りない場合は保険等で備えることを今から始めましょう。