はじめに
来年から始まる新NISAに向けて投資銘柄を探索している方は多いのではないでしょうか。私もその1人で楽しく投資戦略を考えています。その中で、「米国高配当投資は良いETFがあるが日本高配当投資は良いETFがないので個別株をおすすめする」とよく言われます。
今回はこの疑問に対して、新NISAではまず日本高配当株は個別株を購入する。3年後にETFを検討するという結論にしました。銘柄としてはNF日経高配当50、iSMSCI高配当を候補に置いておいています。
その結論になった理由を書きますので興味がある方は最後まで読んでいただければと思います。
- 配当利回りが3.5%以上の日本ETF
- 増配や配当性向が考慮されている日本ETF
- サラリーマン投資家の投資戦略
ETFを利用するメリットとデメリット
ETFのメリット4選
ETFとは指数などへの連動を目指している上場している投資信託です。そのため、1つ買うだけでたくさんの企業に投資することができます。また、上場しているので自由な時間に売買できます。これが投資信託との違いとなります。
このことからメリットはまず、1つ買うだけで分散投資ができ、値動きが比較的マイルドになることです。次に自動で運用会社がリバランスをしてくれるので個別の企業分析をする必要もありません。最後に1株から買うことができます。一般に日本株は100株からの購入となり、1社購入するのに数十万円かかり資金がないと分散が難しくなります。
このようなメリットを一言でまとめると小額からほったらかし投資ができるといえます。
ETFのデメリット2選
ETFにはデメリットもあります。それは運用会社に手数料を支払う必要があること、株主優待制度が受けられないことです。自動で分散、リバランスまでしてくれるので手数料を支払うのは当然だと割り切れる手数料かどうかを自分で判断する必要があります。また、株主優待制度の対象にはならないので株主優待目当ての場合は個別株で買う必要があります。
ETFのメリット
- 小額から分散投資ができ、自動でリバランスまでしてくれる
ETFのデメリット
- 株主優待が受けられず、手数料がかかる
日本高配当・連続増配ETF6選
ETFの選定基準
今回は以下のステップでETFを選定しています。私は日本個別株を選定する際にも配当利回り3.5%以上、増配を選定基準にしています。
- 日本取引所HPでテーマ別ETF検索から高配当・増配に当たりそうなものをピックアップ
- 配当利回り3.5%以上 or 増配でETFを絞り込む
配当利回り3.5%以上は日本取引HPに載っているパンフレットの情報(2022年9月30日)から判断しているので、現在の配当利回りではありません。この選定基準で選んだETFを次から紹介します。
高配当ETF4選
選定した4つのETFは
- 【1489】NF日経高配当50
- 【1577】NF日本株高配当70
- 【1698】上場配当
- 【2564】GXスーパーディビ
となります。下の表で本取引HPに載っているパンフレットの情報(2022年9月30日)での利回りなどの、より2018-2022年の5年増配率の情報をまとめます。
銘柄 | 日経高配当50 | 日本株高配当70 | 上場配当 | GXスーパーディビ |
---|---|---|---|---|
配当利回り(%) | 4.58 | 3.77 | 3.52 | 4.69 |
配当月 | 1,4,7,10月 | 1,4,7,10月 | 1,4,7,10月 | 1,4,7,10月 |
経費率(%) | 0.308 | 0.352 | 0.308 | 0.429 |
銘柄数(社) | 50 | 70 | 100 | 25 |
5年株価成長率(%) | 5.92 | -4.18 | 6.19 | -1.22 (1年実績) |
5年配当成長率(%) | 18.92 | 10.73 | 10.51 | 1.22 (1年実績) |
投資銘柄 上位5社 (投資割合) | みずほフィナンシャルG (3.83) | INPEX (1.97) | キヤノン (6.89) | 東洋製罐GHD (5.11) |
三井住友フィナンシャルG (3.82) | 東京海上ホールディングス(1.81) | 日本たばこ産業 (7.37) | トランス・コスモス (4.79) | |
日本たばこ産業 (3.78) | KDDI (1.78) | ブリヂストン(6.82) | 稲畑産業 (4.42) | |
日本郵政 (3.71) | 東京建物 (1.74) | 三菱UFJフィナンャルG (3.68) | 双日 (4.30) | |
武田薬品工業(3.68) | 双日 (1.74) | INPEX (3.60) | 日本特殊陶業(4.27) |
この表を見ると配当月はどのETFも同じで1,4,7,10月とVYMなどの有名な米国高配当ETFの3,6,9,12月とずれているのは有難いです。これらのETFに投資すれば1年12ヶ月のうち8ヶ月で配当金がもらえることになります。経費率と配当利回りを見ると、個人的に1番の候補はNF日経高配当50です。日経平均の中で予想配当利回りが高い50社程度で構成されている、大企業に分散できる良い銘柄と感じています。
ここでNF日経高配当50のセクター割合をまとめます。
セクター | 比率(%) |
---|---|
銀行 | 20.08 |
商社 | 13.82 |
鉄鋼 | 10.22 |
保険 | 8.18 |
海運 | 5.49 |
証券 | 4.88 |
化学 | 4.77 |
食品 | 4.07 |
医薬品 | 3.63 |
釜業 | 3.29 |
銀行、商社、鉄鋼に保険業で50%程度となっていて、少しセクターに偏りがあるように見えます。私は手堅い大企業に投資するとこのようなセクター分散になるのも納得です。ただ、私が気になるのは
- 銀行業の割合が20%程度と高い
- 利回りが大きく変動する海運業が含まれる
- 不祥事を起こしている日本郵政
という3点です。まず、銀行業の投資割合が大きくなっています。個人的には銀行業の一部をリース業に変更したい気持ちになります。リース業含めて20%であれば問題ない範囲と考えます。次に海運業は配当金が上下するので、できれば安定した配当金が期待できる企業に投資したいです。最後に日本郵政が含まれていますが、不祥事を起こす企業は基本的に投資対象外と考えています。
経費率を考えると気になるこの3点を回避したポートフォリオを作りたくなる気持ちになります。ただ、このETFを主軸にリース業や情報・通信の個別株に投資するという選択肢もあると思いました。
高配当&増配ETF2選
選定した2つのETFは
- 【1478】iSMSCI高配当
- 【1494】One・高配当日本株
となります。この2銘柄は増配や配当性向を加味した指数に連動しているため、上の4つと分けています。高配当ETFと同様に本取引HPに載っているパンフレットの情報(2022年9月30日)での利回りなどの、インカム投資ポータルより2018-2022年の5年増配率の情報をまとめます。
銘柄 | iSMSCI高配当 | One・高配当日本株 |
---|---|---|
配当利回り(%) | 3.31 | 3.26 |
配当月 | 2,8月 | 4,10月 |
経費率(%) | 0.209 | 0.308 |
銘柄数(社) | 40-100 | 40-50 |
5年株価成長率(%) | 8.20 | 5.5 |
5年配当成長率(%) | 9.87 | 48.59 |
投資銘柄上位5社 (投資割合) | 東京海上ホールディングス(5.59) | 東洋製罐GHD (4.16) |
日本たばこ産業 (5.14) | 稲畑産業 (2.83) | |
三井物産 (5.04) | 住友林業 (2.70) | |
日本電信電話 (5.02) | 安藤・間 (2.65) | |
任天堂 (5.00) | UBE (2.51) |
iSMSCI高配当はMSCIジャパン高配当利回り指数という配当利回りだけでなく、財務や配当性向も考慮した指数となっているため、大企業で安定感がある銘柄が並んでいます。比較的経費率が安いのも良い点です。対して、ONE・高配当日本株は毎年増配しているか、配当を安定しているかを選定基準として、配当利回り加重平均を用いて計算するS&P/JPX 配当貴族指数に連動しています。
iSMSCI高配当のセクター比率を下に示します。情報・通信に16%となっている点は安定した運用が期待できます。セクター割合で2位にきている輸送用機器は景気敏感であり、電気自動車が今後どうなるか読めないので私の投資対象になっていませんでした。もちろん、電気自動車関連株は当たれば今後上がる可能性が高いです。日本株高配当株投資と割り切っての判断となります。
同様に卸売業や、電子機器など上位セクターに景気敏感セクターが多く、不景気時に配当金が伸び悩む可能性があります。情報・通信や輸送用機器、電子機器の割合が大きく、前の章で紹介したNF日経高配当50と一緒と併用するとセクター分散ができると感じました。
セクター | 割合(%) |
---|---|
情報・通信 | 16.68 |
輸送用機器 | 13.44 |
卸売業 | 12.14 |
保険業 | 11.82 |
電子機器 | 10.12 |
建設業 | 9.93 |
食料品 | 7.82 |
化学 | 5.61 |
その他製品 | 4.83 |
その他 | 3.62 |
- NF日経高配当50とiSMSCIを投資対象として今後もチェック
- NF日経高配当50は高配当であり、手堅い企業に分散投資が可能
- iSMSCIは経営が安定していて、増配が見込める企業へ投資している。ただ景気敏感であり、不景気時の配当金推移が心配である
日本高配当・連続増配ETFは3年目以降に活用を検討
NF日経高配当50とiSMSCIを投資対象として今後もチェックします。経費率が高いのもあり、私個人としてもこれ一本で問題ないというETFはありませんでしたが、NF日経高配当50は今後十分に投資対象となるETFだと考えています。
まずは自分でポートフォリオを作成して運用する。その後の追加投資はNF日経高配当50とiSMSCを検討するというのが私の結論となります。私が現在考えている投資先は下の記事にまとめていますので見ていただければ嬉しいです。
NF日経高配当50を将来的にポートフォリオに組み込む
おわりに
何事も自分で調べて検討しないと身につかないと思い、新NISAに向けて日本高配当ETFを検討しました。経費率がまだ米国ETFと比較して高いという印象なのでもう少し下がらないか待ってみようと思いました。
今回は日本株の話をしましたが、私は米国株をメインに投資しています。新NISA全体の戦略もこちらの記事にしていますので参考にしてただければ嬉しいです。