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退職金と税金の基本|退職時の税負担を把握する

退職金と税金の基本というタイトル

はじめに

2025年6月に退職してサイドFIREを目指す34歳主夫退職を考えたとき、事前に準備すべきことはいくつもありますが、特に重要だと思ったのが 退職金・税金・確定拠出年金(企業型DC)、iDeCoと社会保険の5つ です。
この5つについて私の考えを紹介しますので、興味のある方は参考にいただけると幸いです。まず本記事では 第一弾として「退職金」「税金」に焦点を当てます

転職や退職後に「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないためにも、事前にしっかりと確認しておきましょう。

この記事でわかること
  • 退職金にかかる税金の仕組み
  • 退職後にかかる税金の仕組み
  • 34歳で退職して、サイドFIREを目指す主夫の退職金の使い道と税金対策

1. 退職後にかかる税金|前年の収入と退職金の2つに注意

退職後に発生する税金は、大きく分けて 「前年の収入にかかる税金」「退職金にかかる税金」 の2つです。以下に簡単にまとめますが、次の章からそれぞれの計算方法を具体的に説明します。

① 前年の収入にかかる税金(住民税)

退職した翌年にも 住民税所得税 の支払いが発生します。所得税はその年の所得にかかりますが、住民税は前年の所得に基づいて計算されるため、退職後も前年分の住民税を納める必要があります。特に、1月~5月に退職すると、住民税の一括請求がある ため注意が必要です。

② 退職金にかかる税金

退職金は「退職所得」として扱われ、退職所得控除 の適用により税負担が軽減されます。ただし、控除額を超えた部分には所得税と住民税が課税されるため、事前に計算しておくことが重要です。

退職後の税負担を抑えるためには、退職時期の選択や税金の支払い方法を事前に把握しておくことが不可欠 です。

2. 前年の収入にかかる税金(住民税)

住民税の計算

退職後に支払う住民税は、前年(2024年)の所得に基づいて計算されます。この章では、退職して収入がなくなった後にかかる税金の支払いに困らないようにどのくらい税金がかかるかを計算します。

住民税は 「所得割」+「均等割」 で構成されます。均等割部分は市町村によって定額になり、所得割にかかる税率が所得によって税率が異なります。

  • 所得割:課税所得 × ○%(所得により税率が異なる)
  • 均等割:定額(住んでいる市町村によって決まっている)

住民税のシミュレーション

2024年の所得900万円として2025年の税金を上の計算方法から具体的に試算すると以下のような結果となります。今回は所得割の税率を10%、均等割部分は私が住んでいる場所で設定しています。

  • 前年所得:900万円
  • 課税所得(給与所得控除後):705万円
  • 所得割(10%):70.5万円
  • 均等割:5,000円
  • 合計住民税額71万円

退職後の住民税の支払い方法

住民税は前年の所得に基づいて課税されるため、退職した翌年にも支払い義務があります。
会社員の場合、給与天引き(特別徴収)されていましたが、退職後は一括徴収と普通徴収の2つがあります。

退職のタイミングによって、一括納付を求められます。1月~5月に退職する場合は、住民税の一括請求を見越して、事前に資金を準備しておくことが重要です。

1月~5月に退職した場合
その年の住民税の残額を退職時に一括精算する
6月~12月に退職した場合
普通徴収(分割払い)が選択できる

以下にそれぞれのメリットとデメリットをまとめました。私の場合は6月退職のため、一括徴収を求められることはありません。ただ、普通徴収で

支払い方法メリットデメリット
一括徴収
(退職時に全額精算)
退職時に住民税をすべて清算できるため、退職後の支払いの手間がない 支払い忘れや滞納のリスクがない退職金や最終給与から住民税が一括天引きされるため、手取りが大幅に減る 退職後の生活資金に影響が出る可能性がある
普通徴収
(退職後に分割払い)
4回の分割払いが可能で、一度に大きな出費を避けられる 退職金や最終給与の手取り額が減らず、手元に資金を残せる自分で納付する必要があるため、支払いを忘れると延滞金のリスクがある 退職後に収入が途絶えた場合、住民税の支払いが負担になる

参考: 総務省 住民税の仕組み

3. 退職金にかかる税金

① 退職金の有無と金額を確認する

まず、自分の勤務する会社で退職金制度があるかを確認しましょう。就業規則や労働契約書に記載されていることが多いので、事前にチェックしておくことが大切です。

また、退職金が支給される場合、その支払い方法(分割・一括)や支給時期も会社によって異なります。特に転職先の入社時期や生活資金計画に影響するため、しっかり確認しておきましょう。

退職金は、通常の給与とは異なる「退職所得」として扱われ、優遇された税制が適用されます。ただし、課税の仕組みを理解しておかないと、予想外の納税負担が発生する可能性もあるので気をつけましょう。

私の場合は退職金という資料があり、そこで制度や金額のシミュレーションができました。ただ、振り込まれる時期はわからなかったため、退職した先輩に聞きました。その結果、退職金の金額と振り込まれる時期がわかりました。

② 退職所得控除と退職所得の計算

勤続年数に応じて、以下の控除が適用されます。

  • 勤続20年以下:40万円 × 勤続年数
  • 勤続20年超:70万円 × (勤続年数 – 20年) + 800万円
    ※最低でも80万円の控除が適用されます。

退職金から退職所得控除を引いた金額の 1/2 が「退職所得」として課税対象になります。圧縮後の退職所得に対して、通常の所得税率が適用されます。

退職金にかかる税金のシミュレーション

実際に、退職金420万円・勤続10年 のケースでどのくらい税金がかかるのか計算してみましょう。

  1. 退職所得控除の計算
    • 勤続10年の場合:40万円 × 10年 = 400万円
  2. 退職所得の計算
    • (420万円 – 400万円) × 1/2 = 10万円
  3. 所得税・住民税の計算
    • 所得税5,000円(累進課税適用後)
    • 住民税10,000円(退職所得の10%)

④ 退職金に関する注意事項

定申告が必要な場合がある

退職後に再就職しない場合、年末調整を受けられないため、確定申告が必要になるケース があります。

  1. 退職金の「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない(源泉徴収20.42%が適用される)
  2. 退職後にアルバイト・副業などで年間20万円以上の所得がある
  3. 医療費控除や住宅ローン控除を受ける場合

退職金にかかる源泉徴収額が過剰であった場合、確定申告で還付を受けられることもあります。

参考: 国税庁 確定申告

年金形式で退職金を受け取る場合は雑所得になる

今回は一括で受け取る形で計算しましたが、年金として受け取る場合は税金のかかり方が異なるので注意してください。

分離課税方式
退職金は、他の給与所得と分離して課税されるため、税負担が軽減されます。

一時金と年金形式で異なる税制
企業型年金や退職金を年金形式で受け取る場合、「雑所得」として扱われ、税率が異なることがあります。

5. まとめ

退職時には、退職金・税金の2つをしっかりと確認しておくことが重要です。私の場合はざっくり80万円程度を蓄えておく必要があるという結論になりました。

退職金は半年分の生活費を残し、全て新NISAの投資資金と考えているので、税金分まで新NISAに回さないように気をつけたいです。

退職金 → 退職所得控除を確実に活用して、税金は最低限に
住民税 → 普通徴収・特別徴収のメリット・デメリットを理解し、支払い方法を決める
退職時期の調整 → 1月~5月退職の場合は、住民税の一括納付に備える

次回は、「確定拠出年金(企業型DC)やiDeCoの扱い」について詳しく解説 する予定ですので、そちらもぜひご覧ください。