はじめに
先日、第一子が産まれた私が妊娠から出産した後までに申請した補助金を紹介させていただきます。妊娠してから出産までの書類の提出はどこに何の書類を提出すれば良いかまとまったものがなく、調べるのが大変だったので今回は私のようなサラリーマンが対象になるものを申請する場所別に区役所、職場、病院(保険組合)、確定申告の順に紹介しています。一部これから申請のものもありますが、申請方法などみなさんの参考になれば嬉しいです。また、地域や所得によって他にも助成があるので、ご自身で調べるのをおすすめします。
区役所でもらえる3つの助成金
① 妊婦健康診査費用補助券
妊娠届けを区役所で提出すると母子手帳と一緒に妊婦健康診査費用補助券がもらえます。私の住んでいる自治体では、歯科健診の受診券や先天性代謝異常等検査申込書、新生児聴覚検査受診券をもらいました。思わぬ出費としては里帰り先では2週間健診があったのですが、その補助券はなく、5,000円程かかりました。地域によって、補助券の内容や健診のタイミングは異なるようです。
- 対象 → 医師や助産師から妊娠と診断された方
- タイミング→ 妊娠がわかったタイミング(医師の診断が必要)
- 必要書類 →個人番号カード、妊娠届、診断を受けた医療期間の診察券
- 申請方法 →
- 区役所の地域見守りセンターか地区健康福祉ステーションに提出
② 児童手当
里帰り出産をしている場合でも住所地での申請が必要で、遡っての支給はないので、出生届を提出するときに同時に申請することをお薦めします。振込は毎月ではなく、2,6,10月の15日に前月までの4ヶ月分が振りこまれます。手当の月額は一般的に所得の高い方で計算され、令和4年10月から、以下の表のような所得の制約があります。所得の制約は所得から控除を引いた後の金額を限度額と比較して決定するため、実際の収入に換算するとだいたい以下の表くらいの収入が限度額に近くなります。あくまで概算なので収入が限度額に近い方は確認して追加で控除できる項目がないか確認することをおすすめします。適応される項目は「パパの育休制度と給付金」の記事に一覧にしていますので参考にしてください。
- 対象者 → 中学校卒業前までの児童を養育している方
- タイミング→ 出生届を出すタイミング
- 手当月額 → 3歳までは1.5万円、以降1万円(所得制限等あり)
- 申請方法 → 産まれてから15日以内に住所地がある市町村の区役所
③ 小児医療費助成制度
子供の医療費は全ての都道府県、市町村自治体で助成が行われているので、自身がお住まいの自治体の医療費助成を担当する窓口に申請してください。自治体によって年齢や所得の制約、一部負担があるなど異なっています。「乳幼児等に係る医療費の援助についての調査」と検索すると厚生労働省の調査結果がヒットして全国の助成の概要を見ることができます。令和3年の調査結果をみると就学前まで通院の助成が多いですが、所得の制約や一部負担があると答えた都道府県が多区なっています。ちなみに私が住んでいる川崎市では通院は12歳、入院は15歳まで助成がありますが、1歳以降の通院は所得の制限があります。一般に医療費さ未就学児は2割負担、小学校入学後は3割負担ですが、この制度によってタダのように見えています。
- 対象 →各市町村に住んでいるお子様
- タイミング →子どもの保険証ができたタイミング
- 申請先 → 各市町村役所の医療費助成担当窓口
- 必要書類(例) →
- お子様の保険証
- 所得を証明する書類
- マイナンバーカード等の番号確認書類(所得制約のある場合は申請者とその配偶者2名)
- 身元確認書類
会社に申請する2つの補助金
① 出産手当金
出産のために会社を休んだ方が金銭的に困らないように補助が出る制度です。会社からの補助金ではなく加入している保険からの補助なので、産休を取る方は遠慮せず、もらいましょう。ただ、お給料と違って毎月貰えるわけではなく、産休終了後に一括でもらうのが一般的です。産休期間に使うお金はしっかり準備しておく必要があります。
保険に入っている方はもちろん全員もらえますが、退職した方ももらえる可能性があります。
- 対象 → 被保険者(任意継続被保険者は除く)
- 任意継続期間を除く、被保険者期間が1年以上ある退職者で退職日が産前42日間に含まれる被保険者(多胎妊娠の場合は98日)
- タイミング →妊娠がわかったら書類を確認して妊娠した後に提出
- 対象期間 → 出産日42日前から出産後56日まで
- 出産日は予定より早い場合は予定日、予定より遅い場合は出産した日になります
- 1日あたりの金額 →
- 支給開始日の以前12ヶ月の各標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3
- 申請方法 →出産手当金支給申請書を提出する
② 育児休業給付金
勤めている企業を育児で休職する際にもらえるお金です。半年間は給料の2/3、それ以降は給料の1/2で子供が一歳になるまで利用できる制度になっています。計算方法は「パパの育休制度と給付金」という記事でもらえる金額や育休中の保険料や税金を詳しく説明しています。詳細が知りたい方はそちらを見ていただけると嬉しいです。
- 対象 → 被保険者
- タイミング → 育児休業を取得することを伝えるタイミングで
- 申請方法 →職場の人事担当
- 必要書類(例)→ 育児休業給付金支給申請書
- 給付金額 →
- 休業開始時賃金日額×支給日数×67%(6ヶ月以内)
- 休業開始時賃金日額×支給日数×50%(6ヶ月経過後)
病院または健康保険組合に申請する2つの補助金
① 出産育児一時金
直接支払制度の対象の病院だったため、手続き等は健康保険組合が対応してくれました。直接支払制度のある病院の場合は病院で保険証を提示して、直接支払制度に関する書類にサインをするだけになります。42万円未満だった場合は健康保険組合に差額を請求することで差額分を支給してもらえるので、忘れずに加入している健康保険組合に申請しましょう。健康保険組合からも差額請求書を提出してくださいと連絡がある場合もあると思います。直接支払制度がない場合は事前に申請書類を職場、または健康保険組合に提出する必要があります。
対象者は基本的に働いている方ですが、任意継続期間を除く被保険者期間が1年以上あり、退職して半年以内に出産した被保険者も対象になるので退職した方も自分が対象になるか確認してみてください。この補助金は42万円ですが、産科医療保障制度に加入していない医療機関での出産、22週未満での出産・死産40.5万円となります。また、2023年から50万円に補助金が引き上げ予定となっています。これはタイミングの問題なので来年産まれる予定の方はラッキーですね。
- 対象 → 被保険者(任意継続期間を除く)
- タイミング→ 妊娠する病院に通院したタイミング
- 補助金額 → 42万円
- 申請方法 → 直接支払制度がある場合、病院で申請、
- 医療費が42万円以下だった場合は追加で差額をもらうための申請書を加入している保険組合に提出
② 高額医療費制度
高額療養費制度は医療費が高額になった場合に1ヶ月の自己負担額を一定額まで減らせる制度です。これは大まかにいうと3割負担の医療費に適用され、妊娠の場合は自然分娩は対象外となります。そのため、帝王切開など医療費となる出産をした場合のみ対象となります。医療費かどうかは病院からの領収書に記載があります。また、1ヶ月以内の他の治療や家族の医療費も合算できます。ここは有効活用するためのポイントとなりますが、家族の健康保険が違うと合算できないので注意してください。自己負担限度額はおおよそ以下のように決まっていて、一般的なサラリーマンは8万円程になると思います。
適用区分 | 1ヶ月の上限額(世帯) |
住民税非課税者 | 35,400円 |
年収約370万円以下 標準報酬月額 26万円以下 | 57,600円 |
年収約370万円から約770万円 標準報酬月額 28万円以上53万円以下 | 80,100円+(医療費-267,000)×1% |
年収約770円から約1,160万円 標準報酬月額 53万円以上83万円以下 | 167,400円+(医療費-553,000)×1% |
年収約1,160万円以上 標準報酬月額 83万円以上 | 252,600円+(医療費-842,000)×1% |
健康保険組合や共済組合は申請しなくても2,3ヶ月後に差額を支給してくれますが、それ以外の健保保険などは申請が必要なので職場に相談してみてください。また、限度額適用認定申請書を提出すれば事前に認定書がもらえて、それを医療機関に提出することで支払いが高額療養費制度が適用された金額になります。
- 対象者 → 自然分娩以外の妊娠(帝王切開など)
- タイミング → 事前申請の際、医療費が高額になるのがわかった時
- 申請方法 → 事前申請は申請書類の提出が必要
- 自己負担限度額 → 記事内の表を参照
確定申告で戻ってくる還付金
① 医療費控除
本人や生計を一緒にする家族、親族のために医療費を支払った場合に一定の金額を超えた金額が控除されることを医療費控除と言います。医療費控除の金額は最高で200万円で以下の式で計算されます。
実際に支払った医療費の合計-保険金などで補填される金額-10万円
保険金などで補填される金額には先に説明した出産一時金や後述する高額療養費制度も含まれます。また、その年の総所得が200万円未満の場合はマイナス額が10万円ではなく、総所得の5%の金額がマイナスになります。前述した控除によって所得税と住民税の税率をかけた分だけ所得税と住民税が節税になるので所得が大きい方が家族分をまとめて申請することで節税効果が高くなります。
例えば年間所得が実際に払った医療費が20万円で所得税が20%、住民税が10%の場合は医療費控除額が10万円になるので
- 所得税 → 10万円×0.2=2万円
- 住民税 → 10万円×0.1=1万円
の節税効果となります。家族それぞれで医療費控除を申告してしまうと先の例の医療費20万円が分割されるため医療費控除額が小さくなり、節税効果も小さくなることがわかります。
妊娠、出産で医療費控除の対象となる項目を以下の表にまとめますので、合計で10万円以上になると思った方は確定申告をすることをお勧めします。
- 妊娠健診費
- 出産で入院した時の費用
- 治療のための薬代、市販薬代
- 通院用の電車、バス代
- 緊急時の通院、入院時のタクシー代
- 不妊治療の費用
- 出産入院時の日用品代
- 無痛分娩のための講義受講料
- 妊娠検査薬代
- 自家用車通院した際のガソリン代
- 赤ちゃんのオムツ代
e-taxで申請するのが1番簡単です。世帯全員を合算する方が良いので事前に世帯全員の代理人設定しておき、マイナポータル連携して医療費情報を入力することで、申請できます。医療費の領収書が多い場合は医療費集計フォーム(エクセル)を使用することで一括で登録できます。
- 対象者 → 10万円以上医療費を支払った方
- タイミング → 確定申告のタイミング(2月中旬)
- 申請方法 → 世帯全員を代理人登録をした後、マイナポータル連携したe-taxで申請する
最後に
申請先別に分けて申請してもらえる補助金をまとめましたが、いかがだったでしょうか。詳細までこの記事では説明しきれていない部分もあると思います。加入している健康保険組合や職場によって申請方法が異なる部分もあるので職場に問い合わせのが1番良いですが、理解できていない担当者もいると思います。自分でしっかり制度を調べてから申請するのが良いので、読んでいただいた方がこの記事で概要を掴んで、迷わずに申請できれば嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。