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医療費が高かったら「お金が戻る」って本当?
子育てや出産、突然のケガや手術──医療費が重なると、家計には大きな負担ですよね。「意外と高額、どうしよう…」と思ったことがある方も多いはずです。
でも実は、申請すればお金が戻ってくる制度がいくつかあるんです。例えば、確定申告で税金が戻る「医療費控除」、月の医療費が高額になったときに使える「高額療養費制度」など。
私は実際に、帝王切開での出産時にこれらの制度を使って数万円が還付されました。認定証が間に合わず後からの申請になりましたが、それでも戻ってきた金額には正直驚きました。
この記事では、「何がどこまで戻るの?」「どうやって申請するの?」という疑問に、小学生にもわかる言葉で丁寧に答えていきます。
👉この記事でわかること
- 医療費控除と高額療養費制度の違いと仕組み
- 出産・入院でどのくらい戻るのか実例で解説
- 年収や家族構成による適用条件
- 申請に必要な書類や注意点
🔍 この記事では「医療費控除・高額療養費制度」の違いや手続きの流れを解説します。
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【基本情報】医療費控除の対象・控除額・方法

対象となる医療費の例(家族分もOK)
医療費控除は、1年間にかかった医療費が10万円を超えた場合、確定申告を行うことで税金の一部が戻ってくる制度です。
控除の対象となる費用は以下の通り:
- 診察料、治療費、入院費、処方薬代
- 妊婦健診の費用(自費含む)
- 分娩・入院費(帝王切開や異常分娩など保険適用のもの)
- 通院にかかった公共交通機関の運賃
- 助産師のケア費用、不妊治療費
対象外の費用:
- 出産入院時の日用品やオムツ代
- 無痛分娩の講義代や妊娠検査薬
- 自家用車通院時のガソリン代
戻る金額のざっくり計算
医療費控除は、次のいずれかを超えた金額が控除の対象になります:
- 年間10万円を超える金額(所得が200万円以上の人)
- 総所得の5%を超える金額(所得が200万円未満の人)
つまり、医療費が少なくても、所得が低ければ控除対象になることもあります。控除対象となる金額に対して、自分の所得税率(5〜45%)をかけた金額が実際に戻る金額になります。
所得税率は、課税所得(=収入−各種控除)に応じて決まり、以下が目安となります:
| 課税所得の目安 | 所得税率 |
|---|---|
| 195万円以下 | 5% |
| 195万円超〜330万円以下 | 10% |
| 330万円超〜695万円以下 | 20% |
| 695万円超〜900万円以下 | 23% |
| 900万円超〜1,800万円以下 | 33% |
| 1,800万円超〜4,000万円以下 | 40% |
| 4,000万円超 | 45% |
たとえば、課税所得が280万円の方で医療費控除対象額が5万円あれば、10%の税率が適用され、5万円 × 10% = 5,000円が還付されるイメージです。
還付額は所得税率によって変わります。 例えば、所得300万円の家庭で医療費が15万円だった場合:
- 控除対象:15万円 – 10万円 = 5万円
- 税率10% → 5万円 × 10% = 5,000円が還付
📌控除は家族全員分を合算可能なので、夫婦や子どもの医療費も含めて計算しましょう。
申請に必要なもの
- 医療費の領収書または明細書
- 医療費通知(健康保険組合が出す一覧)
- 確定申告書(e-Taxまたは紙)
高額療養費制度とは?どこまでカバーされる?

月の自己負担に上限がある制度
1ヶ月の医療費が高額になった場合でも、自己負担額の上限を超える分は払い戻される制度です。
例:年収400万円の世帯が1ヶ月に20万円の医療費を支払った場合、自己負担は約8万円で済み、残りは返金されます。以下の表が年収の目安ごとの上限額になります。
| 適用区分 | 1ヶ月の自己負担上限額(世帯単位) | 年収の目安(概算) |
| 住民税非課税世帯 | 35,400円 | 約370万円以下 |
| 標準報酬月額 26万円以下 | 57,600円 | 約370万〜770万円 |
| 標準報酬月額 28〜50万円台 | 80,100円 +(医療費 – 267,000円)×1% | 約770万〜1,160万円 |
| 標準報酬月額 53〜83万円 | 167,400円 +(医療費 – 553,000円)×1% | 約1,160万円以上 |
| 標準報酬月額 83万円超 | 252,600円 +(医療費 – 842,000円)×1% | 約1,500万円超 |
自動で戻る?申請が必要?
- 健康保険組合・共済組合 → 自動で還付される場合あり(2〜3ヶ月後)
- 協会けんぽ等 → 自己申請が必要
📌 「限度額適用認定証」を事前に取得しておけば、病院の窓口で支払う金額が最初から減額されます。
👉 妊娠・出産で医療費が高額になった方はこちら
制度を使った実例(ざっくり2パターン)
パターン①|出産+入院(医療費控除+高額療養費)
帝王切開や妊娠高血圧症候群など、医療行為を伴う出産は保険適用になり、高額療養費制度の対象となります。
- 年収約400万円 → 月の医療費自己負担は約8万円が上限
- それを超えた分は払い戻し
- さらに、医療費控除で翌年の税金が減る可能性も
📌 私の体験:認定証が間に合わず、いったん全額支払い → 後日申請して還付。大変でした…!
パターン②|子どもの手術(高額療養費+自治体助成)
- 小児の手術や入院で20万円の医療費
- 高額療養費制度により自己負担は数万円に
- 自治体の医療費助成制度も併用 → 実質ほぼ無料になることも!
高額療養費制度の見直し動向
高額療養費制度は、医療費の自己負担を一定に抑える仕組みですが、近年は見直しや改正が続いています。たとえば令和4年10月には、70歳以上の一部区分で自己負担割合が1割から2割へ引き上げられました(厚生労働省PDF)。
こうした動きは、高齢化による医療費増加や給与の伸びの鈍化といった社会構造の変化が背景にあります。以下では、2025年以降に議論されている見直し案と、その背景をまとめます。
高額療養費制度の見直し内容と変更ポイント(2025年以降)
2025年以降に予定・検討されている見直しの方向性としては、次の3点が挙げられます。
- 現役世代(特に高所得層)の自己負担上限の見直し
医療費抑制の観点から、年収約1,160万円以上の層を対象に、上限額を引き上げる案が検討されています。
これは、より負担能力の高い層に一定の負担を求めるもので、制度の持続性を確保する目的があります。 - 70歳以上の中間所得層の負担見直し
2022年に一部区分で1割→2割へと改正されたのに続き、
今後は「年金+給与」など複合収入がある世帯における実態を踏まえた再調整が議論されています。
医療費の利用が多い高齢層へのバランス調整が焦点です。 - 多段階区分の簡素化・デジタル化
現行では所得に応じて5段階に区分されていますが、申請や計算の複雑さが課題とされています。
マイナ保険証の普及により、将来的には自動判定や電子申請の仕組みを導入し、
「使いやすさ」と「公平性」の両立を目指す方向性です。
こうした見直しは、単に「負担増」だけでなく、制度をより持続可能かつデジタル時代に適応させる流れとして位置づけられています。
給与と医療費の伸びの差
厚生労働省の資料(第152回社会保障審議会 医療保険部会)によると、
近年の医療費の伸び率は給与の伸びを上回る状態が続いています。
- 医療費は年平均約2〜3%増加
- 一方、賃金の伸びは1%前後にとどまる
つまり、国民の「支える力」が制度の支出増に追いつかない構造です。これにより、公的保険制度の財政は年々厳しくなり、自己負担割合や上限額を見直す方向での議論が進んでいます。
こうした流れを踏まえると、今後は「制度を使いこなす力」と「自分で備える力」 の両方が求められる時代になります。次の章で使うべき制度をまとめた後に自分で備える方法を紹介します。
医療費に強い家計をつくる|公的制度と自助努力の組み合わせ方
医療費が高額になったとき、「医療費控除」と「高額療養費制度」を正しく理解して活用できるかどうかで、家計の負担は大きく変わります。制度の仕組みを知らずに自己負担をそのままにしてしまう人も多く、結果として数万円単位の損をしているケースも少なくありません。
特に出産・手術・入院など、医療費が一時的に増える時期には、これらの制度を組み合わせて活用することが重要です。この章では、まずそれぞれの制度の「適用範囲・申請の流れ・注意点」を整理し、そのうえで「自分で備える方法」までを解説します。
公的医療制度を正しく使う

どちらも「医療費が多くかかったときに戻る制度」ですが、対象期間・判定方法・還付の仕組みが異なります。混同すると申請漏れや誤申告につながるため、まずは違いを押さえましょう。
| 比較項目 | 医療費控除 | 高額療養費制度 |
|---|---|---|
| 制度の目的 | 年間を通じて支払った医療費のうち、一定額を超えた分を所得控除として還付 | 1か月間の医療費が上限額を超えた場合、超過分を払い戻し |
| 対象期間 | 1月1日〜12月31日 | 1か月 |
| 申請先 | 税務署(確定申告) | 加入している健康保険組合・協会けんぽ等 |
| 還付の形 | 所得税の一部が還付 | 医療機関で支払った自己負担超過分が返金 |
| 単位 | 世帯全体で合算可(扶養家族含む) | 同一保険者単位(外来は個人、入院は世帯合算可) |
💡 ポイント:
- 医療費控除は「年単位の税金対策」、高額療養費制度は「月単位の医療費補助」。
- 両方を併用することで、“税金面”と“医療費面”のダブル軽減が可能。
たとえば出産や手術で医療費が高額になった場合、まずは高額療養費制度で直接の支出を減らし、翌年の確定申告で医療費控除を申請すれば、税金も戻るという流れです。
👉その他の制度を知りたい方はこちら
節約と投資で“支える力”を強化
公的制度は心強い仕組みですが、少子高齢化や医療費の増加を背景に、今後も見直しが進む可能性があります。そのため、「制度があるから安心」ではなく、“自分の家計の中でどこまで備えられるか”を意識することが大切です。
① 家計を整えて「医療費に耐えられる余白」をつくる
まずは、固定費や生活費を見直して“医療費に回せる余白”をつくることが第一歩です。保険料・通信費・サブスク・光熱費などを点検し、毎月3,000〜5,000円でも浮かせられれば、突発的な医療費や一時的な収入減にも耐えられる「医療費余力」が生まれます。
また、生活費3〜6か月分の現金クッション(生活防衛資金) を確保しておくと、
入院や治療で収入が減っても家計を崩さずに済みます。この2つを合わせて、“短期的なリスクに強い家計の土台”を築きましょう。
② 長期的には“資産所得”で医療費を支える
将来的な医療費増加に備えるには、投資による資産形成も有効です。つみたてNISAやiDeCoなどの非課税制度を活用し、少額からでも“医療費リスクを吸収できる資産”を育てておくことが大切です。
「将来の医療費は、配当金や運用益でまかなう」という仕組みを持てれば、制度改正や物価上昇の影響にも強い家計が実現します。
医療費に備えた家計をつくる
制度を理解して正しく使うこと。そして、制度が変わっても耐えられる家計を整えておくこと。
この2つがそろえば、たとえ医療費や制度が変わっても、“生活を守れる力”を持てます。医療費控除や高額療養費制度は「守りの仕組み」。節約や投資は「攻めの備え」。どちらも上手に組み合わせて、家計を安定させていきましょう。
👉最後にとん家のプロフィール|地方移住・FIRE・家族のこと…“わが家のリアル”をすべてまとめました。興味があればぜひ。
よくある質問(Q&A形式)
Q:帝王切開や入院費も控除対象?
→ はい、医療費控除・高額療養費どちらも対象になります。
Q:限度額適用認定証はどこでもらえる?
→ 加入している健康保険組合に申請すれば、1週間ほどで届きます。
Q:医療費が10万円未満でも控除される?
→ 所得が少ない場合(総所得×5%が10万円未満)でも対象になります。
Q:医療保険と併用できる?
→ できます。医療保険の給付金は関係なく、実際に払った医療費が対象になります。















